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2023.08.03

「FIT-SDGsプロジェクト講演会~SDGsからみた自然災害と防災~」を開催しました(6/30)

 6月30日(金)滋賀大学大学院教育学研究科教授 藤岡 達也先生をお招きし、「FIT-SDGsプロジェクト講演会~SDGsからみた自然災害と防災~」を開催しました。本講演会では、予測困難な時代に生きる私達と自然環境・科学技術・社会との関わり、繋がりについて、SDGsの観点を交えながらご講演いただき、対面とオンラインで、学生24名、教職員17名の計41名が参加しました。

 まず第1部では、昨年度実施されたFIT-SDGs知識探求型学生交流プログラムについて、参加学生2名から取組報告がありました。
このプロジェクトは、SDGsの課題を自分事として捉え、グループワークを通じて課題解決策を考える学部学年横断型PBLとして展開され、昨年度は水をテーマに遠賀川流域の地域課題を題材として活動しました。発表学生のチームでは「竹害」をテーマに、SDGsの目標と関連付けながら、課題の解決策として竹の伐採方法の機械化や竹を利用した製品の開発などを提案しました。
 プロジェクトの意義として、学部横断で文理の垣根を超えて意見交換できたことが良かったとの感想がありました。
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 次に第2部として、滋賀大学大学院教育学研究科教授 藤岡 達也先生より、「SDGsからみた自然災害と防災」と題し、1.近年の自然災害をどのように捉えるか、2.SDGsと防災・減災、復興との関連、3.グローカルな時代への対応、等を内容としてご講演いただきました。

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1.近年の自然災害をどのように捉えるか
(1)Society5.0,VUCAの時代のSTEAM教育と防災・減災について
 STEAM教育とはSTEM教育にA(art)創造性教育を統合した文理融合的な教育手法であり、問題発見力や、課題解決力を醸成する教育として、SDGsやSociety5.0の実現に応える人材を育てていくことが期待されている、との説明がありました。またSDGsの目標9「産業と技術革新の基礎をつくろう」の説明の後、大阪にある珍しい建造物についてSTEAMの観点からクイズ形式で紹介があり、参加者に考えてもらいました。
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(2)科学・技術・社会の相互関連の中で生じる課題について、どう対応するか
 現代は、正解が分からない問題や答えが1つとは限らない問題を考えていかなければならない時代であり、知識の集積だけでは解決できず実際の行動は一人一人にゆだねられ、国レベルでも個人レベルでも価値観は違うため、どのように合意形成を取っていくかが問われると述べられました。

(3)近年の自然災害と社会の対応について
 自然災害は自然現象に過ぎないが、そこに人間が関わって災害となること、地震や風水害などの自然現象は人間がいくら努力をしても防ぐことはできないため、阪神淡路大震災以降は「減災」という言葉が使われるようになってきたこと、地域によって課題が異なることが説明されました。
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2.SDGsと防災・減災、復興
(1)誰一人災害から取り残されないための取組について
 SDGsの目標について説明があり、科学や社会(行政)が発達し、情報伝達が進んでも、それを受け取る人が正しく理解する必要があり、そのための防災教育や人材育成が重要であると述べられました。

(2)自然(科学技術)の二面性(災害と恩恵)の理解について
 日本列島の災害と恵みについて、御嶽山噴火や富士山などの事例を用い、噴火による災害の危険性より、日常は火山と関連した景観や温泉など、観光地や世界文化遺産も含めて多くの恩恵を受けているとの説明がありました。

3.グローカルな時代への対応
「SDGs目標の達成に向けて実施手段を強化し,グローバル・パートナーシップを活性化する」について説明があり、日本の津波の事例をもとにアジア各国へ向けてリーフレットを作成・配付されていること、また日本で開催された第1回~3回国連防災世界会議など災害削減に向けての日本の貢献について、紹介がありました。

 最後に参加学生に期待したいこととして、身近な地域の過去の災害を知ること、他地域の自然災害を自分事として捉える、防災(災害安全)は安全・危機管理の基本、自分と地域、社会との新たなつながりを考える等が述べられました。

 事後アンケートでは、「今まで災害の恐ろしさは知識として理解していたが歴史を知ってより参考になった」「自然災害について避難時にマニュアルだけではなく場所ごとの避難方法について考えておくべきと感じた」「日本はかなり自然災害が多い国ではあるが、その経験と知識を国際的に広めて、国際社会の役に立っていると知ることができた」などの声が聞かれました。今回のご講演では多岐にわたる知識を得ることができ、また自然災害や防災について考えるよい機会となりました。
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