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2023.07.14

2023年度FIT-ITセミナー「デジタルの技術で私たちの未来をデザインする」を開催しました(6/27)

6月27日(火)、C棟地下ホールにて2023年度FIT-ITセミナー「デジタルの技術で私たちの未来をデザインする」を開催し、情報工学部の学生159名、教職員24名が参加しました。冒頭に、教育開発推進室の川口課長から本セミナーの開催趣旨について「今、デジタル社会でどのようなことが起こっているのか、またどのようなことが起きようとしているのかを学び、大学、短期大学部での学びが社会とどうつながっているのかについて共に考えていきたい。」と述べられました。
セミナーの第一部では、講師として、株式会社みんなの銀行 取締役頭取 永吉健一様にご登壇いただきました。永吉様からは、デジタルがもたらす環境の変化、なぜみんなの銀行を創ったのか、データの分析がビジネスの中でどう活用できるのかについて、以下のポイントでご講演をいただきました。
①業界トレンド~デジタルがもたらす環境の変化:デジタル技術を活用し、異業種が金融業界に参入してきており、変化をしなければ従来の『銀行』はDisrupt(破壊)されてしまうかもしれないという危機感を持っている。
②10年後を見据えた新事業の立ち上げ:「これまでの銀行の延長線上にない、非連続な成長戦略を描く」というミッションのもと、金融と非金融をつなぐ新しい金融サービスプラットフォーム(Wallet+)をリリース後、『銀行』の”Re-Design”(再デザイン)、Re-Define(再定義)することを目指し、みんなの銀行を設立した。
③新事業を支えるデータ:セクションを横断したデータ分析チームを組成し、ノウハウの蓄積とスムーズな横展開で、グループ全体への波及効果を生み出している。
④おわりに:将来的には、BaaS(Banking as a Service)等を通じて『銀行』を”Re-Define”(再定義)することで、新たな顧客体験の創出を目指したい。
 
続いて第2部のパネルディスカッションでは株式会社みんなの銀行様から永吉頭取、本学卒業生の近藤創太さんと柴本裕真さん、本学からはファシリテーターとして藤岡寛之情報工学部長、学部生から宇都健志さん(情報工学科4年)、長 遥以さん(情報通信工学科2年)、力丸真衣さん(システムマネジメント学科3年)が登壇し、「デジタルスキルの育成とキャリアへの影響、デジタル倫理について」をテーマにディスカッションを行いました。
まず、卒業生から自己紹介が行われ、近藤さんはiBankマーケティング株式会社のデータサイエンティストとして「データ共創部」に所属していること、大学での学びが活きている部分として講義で学んだプログラミング力、レポート作成で培われた文章作成力、サークルや課外活動から得たコミュニケーション力が紹介されました。柴本さんはゼロバンク・デザインファクトリー株式会社、Arch Div.アーキテクチャグループに所属し、インフラエンジニアとして勤務していること、大学での学びが活きている部分としては電子情報工学科出身なので工学、情報工学の両面からプログラミングを学んだことやインターンシップなどで培ったコミュニケーション力がエンジニアの方々と一緒に仕事をする上で役に立っていると紹介がありました。

在学生からは自己紹介と講演の感想が述べられ、「技術が変われば価値観も変わっていくということでしたが、新しい技術を創る際に価値観の変化を反映させていくことの難しさを感じた」、「新しい発想を得る際に利用者の声を聞きながら開発を進めると言った点に感銘を受けた」、「みんなの銀行がなぜ福岡銀行の中ではなく別枠でできたのかという点に疑問を持っていたのでその点を知ることができて良かった」との感想がありました。
 
ディスカッションでは藤岡教授から、スイスの国際経営開発研究所(IMD)が発表した世界デジタル競争力ランキング2022の紹介があり、日本は約60か国中29位というデジタル化の遅れが生じている現状が報告されました。その観点から、在学生には大学でデジタルスキルの取得についてどういった学習内容を学習しているのか、修得がどういう役割を果たしているのかといった点についてコメント頂き、みんなの銀行様にはどういったデジタルスキルの取得を目指しているのかといった点についてコメントを頂き意見交換を行いたいと述べられました。
宇都さんから、「プログラミングでC言語やJAVAを学んでいるが仕事にどう活かせるのかがまだわからない」との質問があり、柴本さんから、「企業によって使用するプログラミング言語は異なるが、共有のベースがあって、基礎がいろんなところに繋がっている。社会人になってもセミナーなどで学び続けている」と回答がありました。
さらに、藤岡教授から先ほどのランキングでもビッグデータの取り扱いによってデジタル化の差が生じていると思うが、企業として取り組まれていることがあれば紹介頂きたいと質問があり、近藤さんから「日本ではビッグデータの活用は進んでいないと感じているが、日本人の特性である生真面目さはデータを分析するという点では重要なので、今後この分野はデータの質向上という点で進むのではないかと思っている」と回答がありました。さらに、永吉頭取から、「今までの銀行はデータは収集しているものの規制に守られて活用するまでに至っていなかったが、規制緩和によって今後データを武器にして戦っていかないといけないと感じている」と回答がありました。
また、藤岡教授からデジタルスキルの取得が将来のキャリアにどう影響しているのかという質問に対して、柴本さんから、「学生時代は将来についてすべて把握することは難しいと思うので、まずは授業を大切にして、課外活動等を通じて社会人基礎力を身に付けること、そうすると社会に出て学んだことがつながる瞬間があるのでまずはそこを信じて目の前のことをやり続けてほしい」と述べられ、近藤さんから、「学生時代にはいろんなことを取り組んでその中から自分が興味を持ったことをぜひ掘り下げていってほしい」と述べられました。

ディスカッションの最後に、藤岡教授から、デジタル倫理について企業様のセキュリティや倫理に関する観点や実践について聞かせて頂きたいと述べられ、永吉頭取から、「倫理は人がどう判断するのかが大事なのでデジタルであろうとアナログであろうと倫理観に変わりはなく、人がどう判断するかは常に考えて続けていくべきことである」と回答がありました。
最後に、前田副学長から「学生には社会で起こっていることに興味を向けて、自分の学んでいることと社会で起こっていることがどうつながっているのかを考えてほしい。まだ学問だけでなく、多くの社会人や教員とコミュニケーションをとることで人と人の関りも学んで、将来に向けて進んでほしい。」という言葉があり、最後に登壇者へのお礼が述べられ、会が締めくくられました。
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