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2022.07.08

第24回FD Café「本学学生に効果的な学びやツールとは」を開催しました (6/22)

本学では、令和 4 年度授業実施方針の基本的な考え方として、「学修者本位の教育推進」を掲げ、その推進の中心軸と位置付けた対面授業を実施する方針が確認されています。一方で、コロナ禍における遠隔授業の経験を活かし、多くの授業の中で学生の学びを深めるために授業の中に様々な ICT 活用の工夫を取り入れ、対面との組み合わせで効果を上げるものや部分的に対面を超える効果を狙った取り組み等が実施されつつあります。
今回の FD Café ではそれらの授業実践事例を共有し、本学の目指すべき教育の方向性について意見交換を行うことを目的に開催しました。当日は学長をはじめ、教員48名と職員18名の計66名が対面とオンラインで参加する中、電気工学科松尾教授による授業実践事例紹介と5名のパネリストによる授業での工夫についての発表およびディスカッションが行われました。
 
開会にあたり、下村学長(FD推進機構長)より、本日のFD Caféを通して先生方が工夫されている授業の実践事例を共有して頂き、本学の目指すべき教育の方向性について意見交換を行いたいとの挨拶がありました。
続いて、松尾教授から「反転授業その後」をテーマに授業実践事例の紹介が行われました。松尾教授は1993年に本学に着任し、初めは市販のテキストと板書を組み合わせた授業を実施し、その後独自のプリント穴埋め形式を取り入れ、プロジェクターの導入によりアニメーションなどを活用、学生の理解が進むように授業を行うと共に、できるだけ効率良く準備ができるよう教材開発に取り組んできたことが報告されました。さらに、2015年のFD Caféにて山梨大学森澤教授の講演をきっかけに、反転授業に取り組み始め、その後担当している科目(座学3科目)すべてを反転授業で実施していることが紹介されました。日々の授業の改善に取り組んでいる中、今必要なのは学力の幅に合わせた教育の方向性、本学の学生の気質に合わせた教育および授業であると考え、取り組んできた反転授業の概要について報告がありました。
反転授業の特徴として、授業中での板書だけでは学習範囲が限定的だが、課題を設けることで学びの幅が広がること、事前課題が半強制のため学習時間を確保できること、事前課題を通して学生同士でのグループ学習を促進できることが挙げられました。導入した当初は事前準備に時間がかかったため、いかに効率よく準備を行えるかを検討し、初めはTex(Lyx)を活用したが、今はすべての授業コンテンツをWordにして、WordにVBAプログラミングを適用して実施していることが動画で紹介されました。さらに、今後は確認テストを埋め込んで、実質的な視聴率を上げようと工夫していることが紹介されました。
コロナ禍で本学も遠隔授業を経験し、授業の在り方を改めて見直している中で、遠隔授業で培った知見を今後に活かしたい、大学基準協会に関わることになって感じたのは基準協会の基準はあるべき大学の姿のベースであり、本学は基準を満たしているもののさらなる教育の向上を目指すためには学生の気質、効果的な独自の教育を目指す不断の努力が大事であることが示されました。

質疑応答では、反転授業では事前学習をやらない学生が取り残されるのではないかとの質問があり、松尾教授から、全員がついてくるように毎回課題をチェックすることで、事前学習に取り組まない学生はおらず、グループで学習している様子も見られ、8割超の合格率で実施できていると回答がありました。
 
以上の発表を受け、倪全学教育開発WG長から、貴重な知見を共有して頂いた松尾教授に謝辞が述べられ、続いてパネルディスカッションに入りました。パネリストからはまず松尾教授の発表について、反転授業の事前課題は何分くらいの動画なのか、また学生の反応はどうなのか、反転授業の効果などについて質問があり、松尾教授から事前動画の時間は約30分、学生からは後から動画が確認できるので復習ができる、演習問題で理解が深まるとの意見があること、今のところ否定的な声は聞こえてこないと回答がありました。また、以前の講義形式から反転授業に変更した際の効果や評価についてはALを含んだ反転授業の結果であり、一概に反転授業の結果とはいえないが、成果が出る時と変わらない時もあること、教育の結果は受講生の姿勢や基礎学力に寄ることもあるので手ごたえを感じている部分は前向きな結果ととらえていると回答がありました。
 
パネルディスカッションでは、各パネリストから、授業への取組の工夫について以下の報告がありました。

赤木教授:反転実演に近い授業を実施。1回の実習中に複数の異なるテーマで実験を行っているので、各班に必要な動画を作成し、学生がプロコトルを作成、動画の作成には時間がかかるが授業時間で実習を効率的に実施できる。また、座学では双方向性を意識し、Googleフォームで小テストを作成し、回答をスクリーンに表示、正答率をフィードバックしている。

村山教授:すべての授業でFIT-AIMによる授業の概要と感想などの振り返りを入力させている。以前、紙でレポートを提出させていた時は他の学生のレポートを写している学生がいたが、FIT-AIMを活用することになって改善された。また、学生が授業の内容や使用しているスライドについて質問やコメントをくれるので、学生との双方向性がとれ、授業改善に役立っている。

宋教授:理系的な科目と文系的な科目を担当。文系的な科目で双方向性をどうやって確保するかが課題であったため、グループ発表を取り入れている。グループ発表のテーマは身近なビジネステーマとし、学生が調査し、発表することで講義だけではない実社会での知識を習得させている。また、発表の評価を公表しているため、学生が評価を参考にし、学びを深めるように工夫している。

尹教授:復習に力をいれるようにしている。授業ではパワーポイントを使用し、資料は印刷して配付。コロナ禍で授業録画をするようになり、今年度も矢無負えず出席できない学生も授業に参加できるように動画をstreamにアップしている。ミニテストをFormsで実施。利点は問題をランダムに設定することができることと欠席した学生も受験ができること、教員側としても成績管理がしやすい。また、学生の自主性を高めるために授業中での発言者に加点するシステムを実施、発言者や質問者が少しずつ増えている。
 
倪教授から、各パネリストのコメントから様々なツールを活用してコツコツと授業改善を行っている様子がわかること、倪教授自身もFIT-AIMを活用しており、入力することを評価に取り入れると入力率があがったこと、自由記述では授業のどこで躓いたのかを100人中80人くらいは回答してくれるので授業改善に有効であるとコメントがありました。パネルディスカッションでの発表内容について、参加者から、昨今の授業形態について学生の反応について調査してみてはどうかとの問題提起がありました。さらに、FIT-AIMの仕様について学生へのフィードバックを行うために学生がコメントを入力したらわかるようなシステムに改修してほしいとコメントがありました。
最後に、村山教授から、松尾教授の反転授業の発表では本学の学生の気質に合わせた教育を実施することが必要との部分が印象に残ったとの感想が述べられ、松尾教授、パネリストの赤木教授、宋教授、尹教授や質問してくださった前田教授への謝辞が述べられ、本学の教育改善のために、共有された取組み事例を1つでも2つでも取り入れて、今後の授業改善に活かしてほしいとの挨拶があり、予定時間いっぱいでの閉会となりました。
実施後の参加者アンケートでは、「パネラーの先生方の具体的な取り組み事例や学生への対応姿勢が参考になりました。」、「学生にその場でフィードバックできる取り組みは、学生の意欲を伸ばす上で効果的であるように思えました。」、「松尾先生がおっしゃるように学生の気質を踏まえた教育が必要であり、またそれと共に、教員個人の特性や個性に応じた教え方が大切であると考えます。授業成功の鍵は、色々な教育手法やツールをトライして、自分に合った手法を見つけることが肝要であると思っています。」、「学生のやる気を引き出すことが大切で、先生方は学生のやる気を引き出すためにどのような工夫をされているか知りたい。」などのコメントがありました。
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