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2026.02.27
第42回FD Café「多様性で広がる工学教育」を開催しました (2/13)
2026年2月13日(金)本学E棟2階会議室にて(対面およびオンライン)、第42回FD Café「多様性で広がる工学教育」を開催し、教職員他計73名が参加しました。講師には、九州大学男女共同参画推進室教授の河野銀子氏(教育社会学)を招きご講演いただきました。
河野教授はこれまで、中学生の理科学習・理系進路選択のジェンダー分析、女性研究者支援政策、ジェンダーと科学技術政策の国際比較などに関する研究を展開してこられました。講演では、近年「理系女性を増やす」機運が高まっている背景として、SDGsをはじめとする国際的なジェンダー平等推進、多様性によるイノベーション効果、人口縮小社会における人材確保の重要性などが紹介されました。
続いて欧米の動向として、女性研究者数(景色)を増やす政策だけでは課題が解決しないことから、大学の制度・風土(組織)や研究・教育内容(知識)にジェンダー視点を組み込む政策へ転換が進んでいる点が示されました。とくにEUでは、研究助成申請に「ジェンダー平等計画(GEP)」が必須となり、カリキュラムへの性差分析の組み込みや、研究内容のジェンダー視点が評価項目に組み込まれていることが紹介されました。
講演後半では、日本の理工系分野が抱える「入口問題」、つまり学部段階から女性割合が著しく低い現状が示されました。また、女性が学習・研究の場で孤立や萎縮を感じる「冷たい環境(Chilly Climate)」の事例が国内外の研究を交えて説明され、こうしたミクロの経験が女性のキャリア継続を阻む要因となっている点が強調されました。
最後に河野教授は、STEM分野における女子・女性の参画を促進するためには、「景色を変える」(数を増やす)だけでなく、大学が自らの組織文化や教育方法を見直し、インクルーシブな環境づくりを進めることの重要性が述べられました。
質疑応答では、以下の3点が特に議論されました。
1. 進路選択と保護者バイアスへの対応
家庭環境の影響は大きいものの、大学としては多様なロールモデルの提示や正確な情報提供を通じて、学生の主体的な意思決定を支えることが重要。女子は全体として男子より周囲の意見を参考にする傾向があるが、理系を選択した女子は参考にしていない(参考にすれば理系を選択しなかった可能性がある)、自律的な選択を後押しする環境づくりが有効とアドバイスがありました。
2. アンコンシャス・バイアス軽減の実務
日本では高校の文理選択により、理工系進学の機会が限定されやすいという構造的課題があること、大学での対策として、教職員への研修だけでなく、面接・選抜の前にチェックリストを必ず確認する仕組みを設けることで、公平な判断を組織文化として定着させる方法が紹介されました。
3. 少数者への支援と“冷たい環境(Chilly Climate)”
女子が1人しかいないクラスなど、少数者が孤立しやすい状況に対しては、同じ立場の学生が出会える機会づくりや、上級生による学修サポートの制度化が効果的。また、学外団体とも連携し、複数のコミュニティを支える体制を整えることが、学生の「居場所」と「学ぶ手応え」を保証する鍵になります。
最後に前田副学長から、講師への謝辞とともに、本学でも夏のオープンキャンパスや小中学生向けイベントでもジェンダー平等(GEI)に配慮した対応を広げていくこと、そして「景色・組織・知識」の三角モデルを基盤に、ジェンダー平等とインクルージョンの推進に取り組む方針が示されました。
参加者の事後アンケートからは、「多様な観点からジェンダーバイアスについてまとめられたご講演だったためとても参考になった。」「理系女性を増やす取り組みの背景および現在の状況について、より一層理解を深めることができた。」「女性という観点が主のお話でしたが、その中で成績不良というマイノリティに対しても活かされる部分があり、何かしら講義に反映していきたいと考えさせられた。」などの感想があり、本学として、冷たい環境の可視化やカリキュラム改善に取り組み、学生が安心して学び挑戦できる環境づくりを進めていく必要性を確認する機会となりました。
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河野教授はこれまで、中学生の理科学習・理系進路選択のジェンダー分析、女性研究者支援政策、ジェンダーと科学技術政策の国際比較などに関する研究を展開してこられました。講演では、近年「理系女性を増やす」機運が高まっている背景として、SDGsをはじめとする国際的なジェンダー平等推進、多様性によるイノベーション効果、人口縮小社会における人材確保の重要性などが紹介されました。
九州大学男女共同参画推進室教授 河野銀子氏
講演後半では、日本の理工系分野が抱える「入口問題」、つまり学部段階から女性割合が著しく低い現状が示されました。また、女性が学習・研究の場で孤立や萎縮を感じる「冷たい環境(Chilly Climate)」の事例が国内外の研究を交えて説明され、こうしたミクロの経験が女性のキャリア継続を阻む要因となっている点が強調されました。
最後に河野教授は、STEM分野における女子・女性の参画を促進するためには、「景色を変える」(数を増やす)だけでなく、大学が自らの組織文化や教育方法を見直し、インクルーシブな環境づくりを進めることの重要性が述べられました。
1. 進路選択と保護者バイアスへの対応
家庭環境の影響は大きいものの、大学としては多様なロールモデルの提示や正確な情報提供を通じて、学生の主体的な意思決定を支えることが重要。女子は全体として男子より周囲の意見を参考にする傾向があるが、理系を選択した女子は参考にしていない(参考にすれば理系を選択しなかった可能性がある)、自律的な選択を後押しする環境づくりが有効とアドバイスがありました。
2. アンコンシャス・バイアス軽減の実務
日本では高校の文理選択により、理工系進学の機会が限定されやすいという構造的課題があること、大学での対策として、教職員への研修だけでなく、面接・選抜の前にチェックリストを必ず確認する仕組みを設けることで、公平な判断を組織文化として定着させる方法が紹介されました。
3. 少数者への支援と“冷たい環境(Chilly Climate)”
女子が1人しかいないクラスなど、少数者が孤立しやすい状況に対しては、同じ立場の学生が出会える機会づくりや、上級生による学修サポートの制度化が効果的。また、学外団体とも連携し、複数のコミュニティを支える体制を整えることが、学生の「居場所」と「学ぶ手応え」を保証する鍵になります。
参加者の事後アンケートからは、「多様な観点からジェンダーバイアスについてまとめられたご講演だったためとても参考になった。」「理系女性を増やす取り組みの背景および現在の状況について、より一層理解を深めることができた。」「女性という観点が主のお話でしたが、その中で成績不良というマイノリティに対しても活かされる部分があり、何かしら講義に反映していきたいと考えさせられた。」などの感想があり、本学として、冷たい環境の可視化やカリキュラム改善に取り組み、学生が安心して学び挑戦できる環境づくりを進めていく必要性を確認する機会となりました。