NEWS新着情報

トピックス

2025.04.18

第37回FD Café「分野横断の学びが学生にもたらすもの」を開催しました (3/24)

3月24日(月)「分野横断の学びが学生にもたらすもの」をテーマに、第37回FD CaféをE棟3F R1にて開催いたしました。
今回のFD Caféは、教職員21名、学生4名の計25名が参加し、2023年度~2024年度の教育開発特別予算事業で実施された取組の実施報告および今後の展開について、3名の先生(生命環境化学科 赤木教授、生命環境化学科 宮元准教授、電気工学科 田島教授)および3名の学生から発表頂き、分野横断の学びの効果や課題について教員と学生でのパネルディスカッションを行いました。
各取組について以下の通り発表がありました。

クロスリアリティ技術を利用したメタバースでの学修過程可視化及び教育手法のDX推進(主担当:生命環境化学科 赤木教授)

まず、生命環境化学科4年の朝長さんから、学生目線でのXRCC講義におけるメリットとデメリットや今後の可能性について発表がありました。XRCC講義のメリットとしてZOOMよりも実際の授業環境に近く、深い学びができる点が挙げられました。具体的には、XRCC内では学生は自分のアバターを操作し好きな場所で授業を受けることができたり、研究対象の細胞内空間に入ることで複雑な生体反応を三次元で理解することができたりすることが報告されました。それによって、工学部の学生でも医学部の学問領域を理解する助けとなることや深いレベルの学びが可能であることが報告されました。一方で、デメリットとしてPCの通信環境の問題やバグの発生が挙げられました。XRCCを活用した講義はワクワクしながら学ぶことができ、VR空間で細胞内空間を体験できたり、学んだことをより実体験に近い形で学べたりする可能性があることが発表されました。

続いて、赤木教授から、細胞内でのたんぱく質の相互作用やシグナル伝達経路など目に見えない生命現象の理解は生命科学教育の重要な課題であり、クラウド上に構築したXR空間を用いて、細胞内シグナル伝達の相互理解を目指したことが報告されました。これらの教育実践を行い、その効果を評価することが本取組の目的であり、XRCCシステムの構築、XR空間の設計、教育実践と評価の順で発表がありました。

実施にあたり、予備調査として、ボランティア学生に協力してもらい、模擬講義を受講してもらったのち、正規の授業で実施したこと、理解度と感想をアンケートし、講義前後の理解度ではXR空間を使用した方が理解度も大幅に挙がったことが報告されました。XRCC講義の活用は教育のユニバーサル化への展望が示され、これからの多様な学習者のニーズに応えられる可能性について報告がありました。
  •  

素材からデバイスまでのモノづくりによる分野横断型PBL(主担当:生命環境化学科 宮元准教授)

まず、宮元准教授から、本取組を行うことになった背景として、生命環境化学科で2008年から2022年まで取り組んできたPBL型実験授業の紹介があり、この授業では1,2年次生から最先端設備を用いた研究に触れることができることや自らの企画で研究を進めることで将来的な強みになることを目的に実施し、担当教員、アドバイザー教員、先輩TAが立案や実施をサポートしてきたことが報告されました。カリキュラムでの実施は一旦終了しましたが、1,2年次生への学びのモチベーションアップのためにも課外で実施しようと知能機械工学科の教員と共に化学系と機械系の分野横断で取り組んだことが説明されました。知能機械工学科の学生が構造色ナノシートゲルなどの材料の合成を経験したり、生命環境化学科の学生が情報処理技術を使って発表したりするなど、お互いの研究内容や技術に触れることができたことや、指導した大学院生にとっても指導の経験になったことが報告され、参加をした学生の大学院進学率が上がったことが報告されました。一方で課題としては、1,2年生の学生の参加が少なかったことが挙げられました。

続いて、知能機械工学専攻1年の辻田さんから、分野横断の取組として、宮元研究室と共同で行っている研究について発表がありました。宮元教授の無機ナノシート構造色ゲルの力の強さを検出するセンサーの構築に、自身の研究でおこなっている機械学習を活用しシステムの構築を行っていることが報告されました。
  •  

  •  

FIT-SDGsプロジェクト(主担当:電気工学科 田島教授)

まず、田島教授から、本取組はSDGsと大学での学びの連環を考えることにより社会課題を自分事としてとらえ、行動する姿勢を養うことを目的に全学生対象に2021年度から実施し、延べ79名の学生が参加したことが報告されました。プログラムは水や防災をテーマに事前学習や宿泊研修で構成し、学科学年を超えた学びや学生同士の交流ができたことが報告されました。参加学生のアンケートから、SDGs課題を解決するためには、大学での学びを活かしながら、AIやアプリなどの情報分野での活用の必要性に気づいたとのコメントが紹介されました。

続いて、電気工学科4年の田中さんから、2023年度と2024年度のプロジェクトに参加し、本取組を通して学んだことや得た力について発表がありました。プログラムではSDGsと防災について学び、日本における災害対策の脆弱性とその改善策として災害弱者の避難行動を解決するために地域のコミュニティーを強くすることや災害弱者の情報を把握できるアプリの開発を提案したこと、また、災害時の避難所運営をする人のストレスを軽減するためのシステムの提案を行ったことが報告されました。2023年度のプログラムに参加したのち、本学の防災サークルに所属し、地震災害の発生のメカニズムや避難所の基礎知識について学び、2024年度のプログラムの際には参加者にレクチャーを行ったこと、本取組を通して、自身の研究で扱っている空気燃料電池を利用して非常用電源を製作し、課題を解決するために必要な対策について研究を通して実現することができたことが報告されました。
  •  

発表ののち、「分野横断の学びが学生にもたらすもの」をテーマに教員と学生でパネルディスカッションを行いました。
前田機構長から先生方には横断科目の可能性について、学生には横断科目を学ぶにあたり、どのようなサポートがあると良いかについて意見を述べてほしいと説明があり、それぞれ回答がありました。教員からは、「分野横断(異分野融合)はこれからのイノベーションに必要不可欠なので引き続き取り組んでいきたい。」、「すでに研究レベルではいろいろな融合が行われており、20年まであれば一つの分野で実施したことが学会でも報告出来ていたが、今は分野融合が必然的になってきている。」との回答がありました。
学生からは、「低学年から研修室を自由に見学できるような環境があると、学びたい分野を知るきっかけになるのではないか。」「工学部に所属しているが、情報系の研究も行っており、ある程度の情報の知識もないと研究が進まない。一方で、高校までの数物化学の学習履歴の背景が異なるので、基礎を学ぶ講義がないと応用が難しいのではないか。」「基礎的な数学や文章を書く力を学んだ上で異分野を学んだ方が良いと思う。必要な基礎を学べるカリキュラムの準備が必要ではないか。」とのコメントがありました。
また、参加者から、分野横断は何年生から取り組むのが望ましいかとの質問に、学生から、「1年生が良いのではないか。入学して、自分が取り組みたい研究を行う際にどういった知識が必要なのかを示して、ゴールを設定し、1年生から取り組んだ方がモチベーションもあがるのではないか。」といった意見や「ある程度基礎を学んだ2年の後期くらいがいいのではないか。」との意見がありました。
最後に前田先生から、先日の卒業式の式次第で学生表彰が記載されているが、生命環境化学科と知能機械工学科の学生が多く、卒業生たちが研究に取組んだ成果ではないかと思っている。これは社会の評価にもつながっており、本学の評価につながっていくので、専門知識と横断型の知識を持っている学生を育成していくことが我々の責務であると述べられました。
実施後のアンケートでは、「他学科の先生方の取組を拝見できて、大変参考になりました。」、「学生・教員を交えたパネルディスカッションは新鮮で良かったです。特に、『分野横断』について、教職員は教職員でビジョンを持っているでしょうが、実際に受講するのは学生ですので、学生目線からの認識や意見を知ることは大切なことだと思いました。」、「分野横断の学びを通じて得られるものは、学生にとっては研究の目線を持つことや学習の動機付けに有効だと確認できました。学習者本位や実践型人材育成、6年一貫大学院教育など、本学の諸施策との整合がある授業方法だと思います。」との感想をいただきました。
 
前のページに戻る