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2024.07.10

FIT-SDGsプロジェクト講演会『SDGs×防災 女性目線!みんなに優しい忘災とは?』を開催しました(6/28)

6月28日(金)、防災・安心プランナーとしてメディアでもご活躍され、3度の大災害を経験されている「しほママ」こと柳原志保氏を講師としてお招きし、FIT-SDGsプロジェクト講演会『SDGs×防災 女性目線!みんなに優しい忘災とは?』を開催しました。本講演会では、タイトルにもある“災いを忘れない”という視点から、実体験をもとにすぐにでも役に立つ防災についての知識や情報を、歌を交えて楽しく学べる体験型で、SDGsのゴールテーマとも関連させながらご講演いただき、学生23名、教職員18名の計41名が参加しました。また参加ノベルティとして、「しほママ」共同開発の非常用トイレがプレゼントされました。

 
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FIT-SDGsプロジェクトリーダーである電気工学科 田島大輔教授からの紹介の後、歌いながら登場された「しほママ」こと柳原志保氏。講演に先立ち、経歴等について自己紹介がありました。
宮城県のご出身で、2011年「東日本大震災」の際自宅が大規模半壊し、2児を連れて2週間の避難所生活を送られました。翌年熊本へ移住され防災士の資格を取得されましたが、その後2016年「熊本地震」、2020年「令和2年7月豪雨」を経験されました。全国的に女性の割合が少ないとされる防災の分野ですが、熊本県の防災会議に3年前からメンバーとして参画されるほか、数々のパネリストや委員としても活動され、誰もが安心して暮らせる地域を目指して「歌う防災士」としてメディアでも活躍されています。
災害を防ぐ「防災」は完璧や正解は難しいが、備えることで心にゆとりが生まれ周りに優しくなれるので、本日の講演では一人一人ができることを考え、知識をつけて、地域の人や周りに優しくなれるようになってほしいと伝えられました。
 
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講演の前半は、命を守るという観点から、地震や水害への備えについてお話がありました。
地震はいつどこで起こるか分からない、抜き打ちテストのようなものであり、今いる場所が安全ゾーンかどうかをいつも意識すること、初動が大切でまずは頭を守り命を失わないこと、自分の命を守れば他の人を助けられます。そしてまずは3日間を乗り切る備えを各自がしておくことが大切です。
一方、台風や大雨での水害は準備ができる定期試験のようなものであり、準備する時間はありますが、逃げ遅れることもあります。犠牲者の7割がシニアで、情報を取ることが苦手だったり、まだ大丈夫、自分だけは大丈夫といった正常性バイアスがかかったりすることで避難が遅れてしまうということがあります。水害は逃げるが勝ちなので、お孫さんやお子さん、身近にいる人が避難を後押ししてほしい、とのお話がありました。
続いて、大雨の際の車での避難の注意点や車中泊のコツやポイントなどについて、説明がありました。
また地震や水害のリスクを知るサイトとして、指定の場所の地震が起こる確率等が分かる「地震10秒診断」、洪水や土砂崩れの危険度マップ「キキクル」が紹介されました。

ここで、地震や大雨で気をつけることについて、「となりのトトロ」主題歌の替え歌「防災さんぽ」が、実際にロケで撮影された動画と共に披露されました。馴染みのあるメロディにのせて印象的な歌でしたが、その後、1分間で覚えている単語を書き出してみることで、更に頭に残りました。危険なものや役立つものに気付く目を持ち、誰かに伝えることが、「0円防災」につながるとのお話がありました。
 
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講演の後半は、災害後の避難生活という観点から、避難生活のリアルな体験談や役に立つ情報についてお話がありました。
避難所ではお年寄りや体の不自由な方、外国の方など、多様なニーズがあります。「誰ひとり取り残さない」というSDGsの視点での対応として、やさしい日本語や指差しシート等の例について紹介がありました。
また災害時は皆が被災者であり、避難所運営は行政だけに頼るのではなく皆の力で行うという考えが大切です。避難生活=暮らしであり、女性の力(細やかなニーズ対応等)やシニアの力(食や生活に関する知恵袋等)、様々な知識や知恵を出し合っての運営について、パッククッキングやペットボトルで給水、紙を折って作るコップ等の具体例が紹介されました。
また避難生活において一番と言ってもいいトイレの問題について、避難所でのリアルな体験談や仮設トイレの設置数は男女比1:3と国際基準で決まっていること、大地震後のトイレ使用で気をつけること等が紹介され、非常用トイレの設置方法について歌を交えて説明されました。
 
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最後に、柳原家の心得5か条が紹介され、防災力は人間力を育む、いつもの習慣がもしもの時に役に立つ、助けてもらう側から助ける側へ、できることから行動へ、との力強いメッセージが送られ締めくくられました。

事後アンケートでは、「大きな災害を経験したことがないのであまりイメージがわかなかったが、今日の講演でとてもイメージができた。」「防災について、実体験をもとに詳しくご説明していただき、多くのことを学ばせていただいた。」「とても分かりやすくそして、楽しく学ぶことができた。」などの声が聞かれました。今回のご講演ではリアルな体験談を伺い、様々な知識やアイディアを楽しく得ることができ、防災やその考え方について自分事として捉えるよい機会となりました。
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