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2023.12.21

第33回FD Café「学生の主体性を育てる仕組みづくり」を開催しました (12/15)

12月15日(金)「学生の主体性を育てる仕組みづくり」をテーマに、第33回FD CaféをE棟3F FDセミナー室にて開催いたしました。今回のFD Caféでは、学生アセスメントの現状の課題や改善点、理想的な学習ポートフォリオなどについて教職員および学生で意見交換し、学生の主体的な学びを促進する学生アセスメントにつなげることを目的に開催しました。ファシリテーターの土屋教授による自己調整学習に関するレクチャー、事務局からFIT-AIMの現状の課題等について共有があり、自己調整を促進するためのメニュー案、積極的に活用したくなる機能、入力しやすい仕組みなどについてFIT-joinを中心とした学生10名、教員7名と職員12名の計29名でグループディスカッションを行いました。
初めに、土屋教授から、自己調整学習サイクルと重要要素について説明がありました。主体性を育成する方法として様々な取り組みが行われている中で、自己調整学習が注目されており、3ステップからなる自己調整サイクルが紹介されました。まず、取り組む前に目標や方略を設定し、そこでは目標を達成するための動機や効力感の確認が必要であること、次に取り組みの中で方略と進捗の確認をしながら進めていくこと、最後に取り組みの結果や原因の確認、終わってみて気持ちを確認すること(振り返り)について説明がありました。自己調整学習の大事な要素として、「効力感」に基づく、適切な「目標」と適切な「学習方略」を重要要素とすることが述べられました。
 さらに、自己調整学習を効果的に回すにはフィードバックしてくれる周りの環境があること、最終的には学習者本人が自分自身で適切なフィードバックができる状況になることが重要であり、適切なフィードバックをするためには目標がDriving force(自分を動かす力)になっているか、効果的な方略か、効力感や動機づけに基づいているかを意識することが大切であると説明されました。
 

教養力育成センター FDer 土屋麻衣子 教授
 

次に、教育開発推進室の釘宮係員から、FIT-AIMの活用状況と本学の学生アセスメントの現状と課題について説明がありました。本学では実践型人材の育成に向けて、4年間を通して主体的に学べるようにFIT-AIMを導入していること、事前に回答してもらったFIT-AIMの活用状況に関するアンケートでは振り返りの入力指示がある授業では活用されているが、学期ごとの振り返りや目標・計画立て、課外活動の記録などではあまり活用されていない現状が示されました。現在、教職員では学生が自分のために自己調整しようと思えるツールを作るために議論を重ねていることの説明がありました。

グループワークでは、①自己調整を促進するためのメニュー案、②新しいFIT-AIMのデザイン、名称に関する意見、③こんな機能があれば積極的に活用したい、こんな仕組みだと入力しやすいという点についてグループワークが行われました。
ワークの後、5グループからディスカッションの内容を発表しました。発表の内容は以下の通りです。

【自己調整を促進するためのメニュー案】
・現状では全学共通の項目になっている。学科ごとに学習方法が異なるので、全学の項目だけでなく学科固有の項目を付け加えたら良いのではないか。
・授業ごとの振り返りはあるが、授業ごとに目標を立てる機能がない。(学期ごと)科目ごと、単元ごと、毎時間の目標を記載するようにできたら良いのでは。
・意欲を問う質問ばかりなので、できるようになったことを記載するメニューを増やしてほしい。
・生活の中で、日々の目標を立てて頑張っていること(例えば、ガクチカや就活の際に活かせるような内容)を記載する項目の追加。
・目的目標を記入して授業でできなかったこと、できたことを書き、次にできることを提案できるようにしてはどうか。
・必須の入力項目が多い(授業態度や理解度など)ので一つにまとめてはどうか。
・大きい目標に向かう小さな目標(こういう就職先を目標とするのであれば、まず学年でよい順位を取りたい)を積み上げていくという入力方法にしたほうがよい。
・先輩からのメッセージなど、学生生活に役立つような内容があればよい。


【新しいFIT-AIMのデザイン、名称に関する意見】
・正課と正課外、時系列やできたこと、できなかったことなどをグラフにし、視覚的にわかるようにすれば4年間を通して自身ができることできなかったことを把握しやすいのではないか。
・振り返りをした際にチェック欄で記録できたり、何%達成したかがパーセントで表示されたりするなど、達成率が可視化されると、また頑張ろうという気持ちが促進されるのではないか。
・文字数の制限があり、書きたいのに書けない場合がある。
・自分のやったことを数値で評価し、その数値を集計し、グラフ化すると自分で取り組んだことを視覚的に振り返ることができるのではないか。
・入力したデータを他者と比較し、自分と他者の比較をすることで自分はどこの立ち位置にいるかがわかるような多様な可視化ツールが欲しい。


【こんな機能があれば積極的に活用したい、こんな仕組みだと入力しやすい】
・FIT-AIMにアクセスするまでに何段階も手順が必要。思った時に、書きたいときに書けるようにしてほしい。
・ログイン回数の多さによって特典が出るようなログインポイントを設けてはどうか。
・入力を促す工夫として、一定の時間になったら「今日は頑張れた?」というリマインドが流れてきてイエスかノーで選べる、イエスだったら何を頑張ったか→どのように頑張ったかを入力するというように、簡単なリマインドから深掘りすると気づいたら入力していた、といった仕組みがあると身近なツールになるのではないか。
・大学のスケジュールやカレンダーが見られるようにすると、自然とログインするのではないか。
・授業の振り返りに関しては、授業ボタンを押すと振り返りを書く欄が開くような仕組みがあればワンタッチで書けるのではないか。
・文章だけで書くのではなく、書く時間がないときは、写真で授業内容を記録できるようにしたらシンプルに活用できるのではないか。
・FIT-AIMの明確なメリットがわかりにくいので、入学したときに実際に触る時間を作って、活用することによって成功体験を増やしてはどうか。
・積極的な学生ばかりではないので、入力しないと単位がもらえないなどの半強制的な対策を取ってもよいのではないか。
・授業での活用が少ないと思われるので、まずは教職員の中でもFIT-AIMの活用について共有してほしい。
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グループワークでの発表を受けて、ファシリテーターの土屋教授から、ツールへのアクセスのしやすさやいかにクイックに操作できるか、写真や対話型を活用するといった学生目線での視点を今後取り入れていければと思う、また、目標を立てたり、振り返ったりすることを億劫に感じているわけではなく、前向きに考えてくれていることがわかったので引き続き検討していきたいと述べられました。

 

最後に、副学長の前田教育開発推進機構長から、今回のFDCaféでは活発な議論が行われ、こういった形式で意見交換ができたことに、ファシリテーターの土屋教授と事務局への謝辞が述べられました。本学では現在新しいDPを検討しており、学生が何を学び、何をできるようになったかを明らかにする学習成果の可視化を進めたい、その鍵がFIT-AIMであり、学生が主体的に書き込みたいと思える仕組みが必要であること、それを実現するために自己調整学習が必要であることが述べられました。今後は教職員および学生にFIT-AIMの有効な活用方法を広めていきたいとコメントがありました。

副学長 前田 洋 教育開発推進機構長

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